【現地取材】タイのアイドルヲタがエモすぎる / アイドルグループ「ゆるめるモ!」初バンコクライヴ密着レポート

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2012年に結成された4人組の〈ニューウェイヴ・アイドル〉ゆるめるモ! はご存知だろうか。アイドル・イベント~フェスの常連でありながらライヴハウスでギターウルフや非常階段と一戦交えるなど、その幅広すぎな活動によってアイドルファンのみならず一般の音楽ファンからも支持されているグループだ。

・バンコクでワンマンライヴ
AKBグループのように国民的人気があるわけではないが地上波レギュラーを持ちタレントとしての知名度も着実に上げてきている。そんなゆるめるモ! が、2017年4月29日に初めてバンコクでワンマンライヴを行った。

これまで台湾や上海などでもライヴを行ってきた彼女たちが、バンコクではどんなライヴを見せてくれたのか。客層は? 盛り上がり方は? 日本との違いを見てきたのでレポートしてみたい。

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・なぜバンコクでライヴを行うのか
そもそもゆるめるモ! が今回バンコクでライヴを行った理由は、タイの有志による日本のアイドル応援サイト「サイアムドル」(http://www.siamdol.com )が、「ゆるめるモ! が見たい!」という強い意思で彼女たちを招聘したから。つまり、本公演はアイドル好きのタイ人たち(=ヲタ)の熱意が実現させたわけで、盛り上がらないはずがないのだ。

11時の会場時間には、すでに20人ほどのファンが集まってる。日本から来た遠征組もいるが8割は現地ファンといったところ。女性率は全体の1割ほどだろうか。10代後半~30代前半が多いようだ。顔なじみが集まっているため受付前はオフ会のように騒ぎあい、テンションを高めあっている。「おー、久しぶりー」日本語が達者なわけではないが、タイ人ヲタの中では断片的に日本語を使うのが流行っているようだ。タイ人同士の会話で日本語が飛び交う様子は、異世界にいるような奇妙さがあった。

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・タイ人ヲタの熱っぽいコール
この日は午前と午後の一日2回公演。どちらの公演も前座として現地で活動をするアイドル、Suteki Wings、ChoNe-biがそれぞれ出演した。両方日本のアイドルの歌を口パクで歌いながら本家のダンスをコピーするという、ちょっと変わったパフォーマンスをするユニットだ。

タイ人ヲタは朝からの公演というハンデを物ともせず、Suteki Wingsの口パク演技に対し異常な熱で応援をはじめる。バンドじゃないもん! の曲を流しながらダンスをコピーする彼女たちの演技は決して褒められたものではないが、ヲタはお構いなしに熱すぎるコールをぶつける。メンバー名を叫び、サイリウムを降って踊る。曲のイントロに合わせて「タイガー、ファイヤー、サイバー……」と意味不明の掛け声を全力で叫ぶ。日本のアイドルライヴではおなじみの光景がここでも繰り広げられているのだ。

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・とにかく熱いタイ人ヲタたち
ゆるめるモ! のライヴでも客の盛り上がり方は日本のライヴとほぼ変わらない。曲に合わせてコールを叫び、覚えている振り付けは一緒に踊り、お気に入りのメンバーの歌唱パートでは騎馬戦のように他の客の上に乗ってメンバーに近づく。日常生活でのストレス発散場所というわけでもないんだろうが、とにかく声がでかくて動きが大きいヲタが多いのだ。

終演後に日本のファンに聞いたところ、「タイのヲタは日本のヲタより暴れるから危なくてステージそばに行くのをためらう人もいる」んだとか。午後からの二部公演では観客の数も増え、ヲタの熱はますます高まっていった。

そんな中でも関心したのが、タイ人ヲタたちがみんな曲をよく勉強してきていること。どの曲で自分のお気に入りの子が歌うのかを把握しており、曲の邪魔にならないように叫ぶパートを覚えてきているのだ。メンバーの動きに合わせた振り付けや、歌詞に呼応するように叫ぶレスポンスなど、感心するほど合っている。

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・環境の悪さを跳ね返すゆるめるモ! の底力
ライヴハウスというよりも広めのスタジオのような会場で行われたため、音響面ではかなり難があった(特に一部はまともに音が聴こえない場面も)。そんな中でもゆるめるモ! はなんとか善戦していたように見えた。モニターの音がうまく聴き取れない状態でズレないように歌い、ほとんどが初めて見るであろうタイ人に向けて精一杯パフォーマンスをしていた。

一部本編の最後に披露された「Only You」は、最もカタルシスが生まれたタイミングだったように思う。タイ人ヲタを指差しながら「Only You」と叫ぶメンバーと、なにかに救いを求めるようにメンバーに向かって必死に手を差し伸べるヲタたちの間に、目には見えない絆のようなものが横たわっているように見えた。

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・〈日本人ヲタ〉になろうとするタイ人たち
終演後の物販の列も途絶えることはなかった。ほとんどのファンが、メンバーとチェキを一緒に撮ることができるチェキ券を求めて並んでいる(演奏中と比べるとみんなおとなしく従順だった)。この日は第一部+第二部の鑑賞に加えてメンバーとの食事会に参加できるVIPチケットも販売されており、その価格はなんと3,000バーツ。日本円にして9,600円以上! VIPチケットが40枚すべて完売、6割以上はタイ人が購入したというのだから恐ろしい。

今回の公演を通して感じたことは、タイ人による日本のサブカルチャーに対する強い思いだ。YouTubeで振り付けを覚え、日本語を話そうと勉強をし、一万円近い高額チケットも買ってしまう。貪欲に日本のカルチャーを消費するその姿は、一般的な日本社会に対するあこがれというよりも日本で極端な振る舞いをしているオタクに同化しようとしているように見える。

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取材後来場者数人に話を聞いてみたが、彼らが口を揃えて言うのが「日本のアイドルには幅広さがあるのが魅力」ということだった。楽曲、メンバーのキャラクター、どちらも自由度が高く、ライヴでファンとメンバーが一緒に楽しめる仕掛けもタイにはないものだという。

マーケットは大きくないものの社会的・文化的にに成熟しているバンコクという都市でここまで熱くハマってくれるヲタがいるのであれば、今後〈日本ではそこまで知られていないがタイでは有名な日本のアイドル〉が出て来る可能性もあるのかもしれない。

・熱狂したいタイのファンたち
最後に、会場で出会ったタイのゆるめるモ! ファンたちを写真でご紹介しつつ、レポートのシメとしたい。写真の人物は上から順番に、あのちゃんに会えるのが楽しみで前日はあまり眠れなかったというカトゥンさん(21歳)、日本のバンドではmonoが好きだというアランさん(32歳)、YouTubeでゆるめるモ! を発見して2014年からファンになったというテンさん(21歳)。みんなハジけている!

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※ライヴ写真は〈サイアムドル http://www.siamdol.com/ 〉より

もっと詳しく読む: タイのアイドルヲタがエモすぎる / アイドルグループ「ゆるめるモ!」初バンコクライヴ密着レポート(Photrip フォトリップ) http://photrip-guide.com/2017/08/18/thai-ylmlm/

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